Bill Evans

フランソワのピアノでクラシック音楽に目覚めてからの数年間は、交響曲・協奏曲・室内楽・オペラなど、たくさんの素晴らしい作品に出会えました。
そしてあらためてピアノという楽器が最も好きなのだと分かり、同じ曲を異なるピアニストの演奏で聴き比べてみると、ピアニストの個性が分かるようになり楽しめました。

次はクラシック以外のピアノ曲をもっと広く聴いてみよう・・・と探し始めたその時、Bill Evans(ビル・エヴァンス)の存在を知るのです。

ビル・エヴァンスは最も人気のあるジャズ・ピアニスト・・・「ジャズ」への入り口でした。

ビル・エヴァンスはそれまで黒人の生み出してきたジャズ・スタイルとは異なり、ドビュッシーやラヴェルなど西洋クラシック音楽を学んだ白人ピアニスト。
ジャズの帝王マイルス・デイヴィスの有名なアルバム『カインド・オブ・ブルー(1959年)』で「モードジャズ」の発展に貢献し、その後のジャズ史に大きな影響を与えますが、すぐにマイルスとは別れます。

そしてここからは自らリーダーとなりベース・ピアノ・ドラムスのトリオ編成として歴史に名を残していくのです。

最大の特徴とされるのは、ベース・ピアノ・ドラムスが主役と伴奏の関係にならず対等な立場で即興演奏を行うという新スタイル「インター・プレイ」。それは緊張感の漂う激しい瞬間や、穏やかで心地良い瞬間が次々と出現する、奇跡的な音楽。

1965年、ロンドンBBCスタジオ・ライブからの2曲です。

Bill Evans Trio – My Foolish Heart

Bill Evans / Chuck Israel / Larry bunker

Bill Evans Trio – Waltz For Debby

Bill Evans / Chuck Israel / Larry bunker

ビル・エヴァンスはアーティストとして多くの素晴らしい作品を残してくれましたが、人生にはまた数多くの悲劇がつきまといました。しかし何があっても活動を続け、自らの最後、その直前までも演奏を続けました。

その壮絶な人生が信じられないほど、残された作品とその音は美しく、安らぎと落ち着きを与えてくれるものばかり。
自身のすべてを作品と後世の人々に捧げたのだと思います。

ありがとう。今晩も聴きます。

[追記]
ドビュッシーやラヴェルのクラシックを学びジャズ・ピアニストとなったビル・エヴァンス。
ドビュッシーやラヴェルを生涯追求したクラシック・ピアニストフランソワ。実はフランソワの自由で個性的な演奏は、ジャズへの強い想いも影響していたようです。
ピアノの異端2人に共通するドビュッシーとラヴェル。クラシックとジャズのジャンルを超えた相互作用。面白いと思いませんか?

[所有CD]
1. Bill Evans『Everlasting Bill Evans: All Time Best (2CD)』:最初はベスト版から・・・そして全アルバムを聴きたいと思いました。
2. Bill Evans Trio『The Complete Village Vanguard Recordings, 1961 (3CD)』:伝説のファーストトリオによるライブ。超人気アルバム『Waltz for Debby』と『Sunday at the Village Vanguard』はこの日のライブから編集したもの。本作が完全収録版。
3. Bill Evans Trio『Turn Out The Stars (6CD)』:亡くなる直前の、ラストトリオによるライブの完全収録版。
4. Bill Evans & Jim Hall『Undercurrent』:ピアノ&ギターのみ。
5. Bill Evans『Alone』:ピアノ・ソロ作品。
6. Bill Evans『Affinity』:ハーモニカとの共演。
7. Bill Evans Trio『I Will Say Goodbye』
8. Bill Evans Trio『Portrait in Jazz』
9. Bill Evans Trio『Explorations』
10. Cannonball Adderley & Bill Evans『Know What I Mean?』
11. Bill Evans Trio『How My Heart Sings!』
12. Bill Evans『Interplay』
13. Bill Evans『Moon Beams』
14. Bill Evans『Conversations With Myself』
15. Stan Getz & Bill Evans『Stan Getz & Bill Evans』
16. Bill Evans Trio『At The Montreux Jazz Festival』
17. Bill Evans Trio『Montreux II』
18. Bill Evans Trio『Montreux III』
19. Tony Bennett & Bill Evans『Some Other Time』:アメリカを代表する歌手トニー・ベネットとの共演。
20. Bill Evans『Quintessence』:5人組の傑作。全員スゴいが、大好きなギタリスト Kenny Burrell(ケニー・バレル)本当に上手い。
21. Bill Evans Trio『Live in Tokyo』:トーキョー・コンサート!

たくさんのアルバムを残してくれたビル。何年もかけてようやくこれだけ聴けましたが、これからも少しずつ大切にコレクションを増やしていく事が出来たら本当に幸せです。

この中からトリオ編成以外でのお気に入りを紹介します。トリオにギターとトランペットを加えた5人編成によるアルバム『Quintessence』から1曲。

Bill Evans – Sweet Dulcinea Blue

Bill Evans / Kenny Burrell / Harold Land / Ray Brown / Philly Joe Jones

[リンク]
ビル・エヴァンス (wikipedia)
カインド・オブ・ブルー (wikipedia)

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